成年後見人のお仕事
成年後見人は被後見人(後見を受ける人)について広範な代理権、身上監護と財産管理の権限を持ちます。
成年後見人に与えられる代理権は、被後見人の財産行為全般について広く及びます。また、被後見人が不十分な判断能力に基づいて自己に不利益な法律行為をした場合、財産的な被害から守るために、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて、被後見人が行った法律行為について取消権が与えられています。
身上監護に関する法律行為とは、本人の生活や健康、療養等に関する法律行為のことです。具体的には、介護サービス契約、施設入所契約、医療、教育に関する契約の選定とその締結、解除、契約に基づく費用の支払い、サービスの履行状況の確認等広範囲に渡ります。ただし、実際に被後見人を介護することなどの事実行為は含まれません。また身体に対する強制を伴う事項は含まれないため、手術・入院又は健康診断の強制はできないとされています。
財産管理とは、被後見人の財産内容の正確な把握、年金の受領、必要経費の支出といった出納の管理のことです。具体的な財産の管理方法は、被後見人についての家計簿をつけるとともに、証拠書類(領収書等)の保管をすることです。
収入管理では、年金の受給資格を取得した場合における受給の諸手続きや、障害年金を受給している場合に障害の程度が変化したときの改訂請求手続きなどは、忘れずに行って下さい。また、アパートなど収益物件を所有している場合には、賃借人から賃料を回収したり未回収の賃料についてはその回収方法を検討することも必要です。
支出に関しては、後見人の意思や生活状況・財産状況から個別に判断されますが家庭裁判所から配布されるガイドブック等を熟読して誤った管理を行わないよう注意して下さい。例えば配偶者や未成年の子に対する生活費の支出は可能ですが、十分な収入のある配偶者であれば生活費を支出する必要性は低くなりますし、また成年に達した子であっても、学生だったり就業困難な事情がある場合には一定程度の生活費や教育費の支出を認められる場合もあります。
必要に応じて家庭裁判所に連絡や相談をし、家庭裁判所や後見監督人の監督を受けることで、被後見人のために十分な注意を払って誠実にその職務を遂行する必要があります。
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