平成30年相続法改正 | 遺言,家族信託,後見,相続手続は,名古屋総合相続相談センター・本山相続相談センターに|名古屋市,愛知県
文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

オーダーメイドの相続プランニングと相続税コーディネートにより円満相続と相続税節税を実現します!

     

遺言・遺産相続準備のご相談は 名古屋総合相続相談センター

名古屋・丸の内事務所

地下鉄 鶴舞線・桜通線
丸の内駅4番出口徒歩2分

金山相続相談センター

金山駅
南口 正面すぐ

本山相続相談センター

本山駅
3番出口すぐ

岡崎事務所

JR岡崎駅
徒歩5分

平成30年相続法改正

1. はじめに

kaisei-h30_01

平成30年7月、相続法は大幅に改正されました。

現在の相続法は昭和55年に改正されたものであり、実に約40年ぶりの改正になります。

この40年間、現行の相続法の運用において生じた諸問題を改善・解決するため今回の法改正に至りました。

今回は平成30年相続法改正のポイントについて現行法の問題点に触れながら解説します。

2. 平成30年相続法改正のポイント

2-1 配偶者の居住権を保護する制度の新設

現行法では相続における配偶者の居住権を保護する制度はありません。

そのため、夫を亡くした妻は夫名義の家を追い出される事態に直面することもあります。

そこで、改正法では、2つの配偶者の居住権を保護する制度を新設しました。

2-1-1 配偶者短期居住権

第1は配偶者短期居住権です。

相続開始時に被相続人の居住用建物に居住していた配偶者は、①遺産分割により被相続人の居住用建物の帰属の確定する日までの期間(但し、最低6ヶ月)あるいは②当該居住用建物の所有者から請求されてから6ヶ月の期間、当該居住用建物の居住権を取得できます。

この制度の新設により、配偶者は相続開始後、直ちに居住している建物から退去しなければならない事態を回避することができます

2-1-2 配偶者居住権

第2は配偶者居住権です。

この制度は遺言あるいは遺産分割の方法の1つとして、配偶者に終身または一定の期間、相続開始時に居住していた被相続人の居住用建物に居住する権利を認めることができる制度です。

この制度により、配偶者は相続開始時に居住していた建物に短期ではなく長期(生涯)に渡り居住することも可能になりました

2-2 遺産分割制度のルール改正

2-2-1 長期間婚姻している夫婦間の居住用不動産の贈与を保護する制度の新設

現行法では、生前、遺産の承継とは区別して配偶者に居住用不動産を贈与した場合でも、遺産分割においては遺産の先渡しを受けたものとして扱われ、実質、贈与のなかった場合と同じ結論になってしまいます。

そこで、改正法は婚姻期間20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与については、遺産分割において遺産の先渡しを受けたものとして扱わないことになりました。

2-2-2 その他のルール改正

その他、改正法では、①相続開始後の生活費や葬儀費用等の資金調達の便宜を図るため遺産分割前に被相続人の預貯金の一定額について相続人単独での払戻しを認める制度、②相続開始後の相続人の1人による遺産の無断処分について、処分者以外の相続人の同意を要件として、遺産分割の計算上、処分された財産を遺産に含めることを認める制度を採用しました。

2-3 遺言制度のルール改正

kaisei-h30_02

現行法では自筆証書遺言は全文自書を要求しています。

しかし、遺言作成の負担を軽減する目的から、改正法では自筆証書遺言にパソコン等により作成した目録を添付したり、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を添付したりして遺言を作成することができるようになりました。

なお、自筆証書遺言の紛失・改ざんを防ぐため、自筆証書遺言を法務局において保管してもらうことのできる新たな制度が新設されました。

2-4 遺留分減殺請求権の金銭債権化の制度の新設

法律上、兄弟姉妹以外の相続人に認められている遺言等でも侵害できない一定の相続割合の保証のことを遺留分といいます。

そして、遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求により遺留分を確保できます。

しかし、従来、遺留分減殺請求はあくまでも遺留分の限度において相続財産を取り戻す形での解決になるため、たとえば特定の相続人に対して事業の承継のために相続された不動産につき遺留分減殺請求することにより、当該相続不動産は共有状態になり、事業遂行に支障を来す問題が生じることがありました。

そこで、改正法では、遺留分減殺請求権の行使を金銭の請求により行うことを認めることにしました。

2-5 相続の効力を第三者に主張するためのルールの改正

現行法における判例によれば、遺言により承継した相続財産は登記することなく第三者に主張できます。

しかし、こうなると遺言の存在・内容を知らない第三者は困ります。

そこで、改正法では遺言により承継した財産のうち法定相続分を超える部分については登記等しなければ第三者に主張できないものとされました。

2-6 相続人以外の親族の貢献を考慮する制度の新設

現在の相続法では相続人でない限り生前に被相続人を介護するなどの貢献をしたものでも当然に遺産を取得することはできません。

そこで、改正法では、相続人以外の親族が被相続人の療養看護等を行った場合には一定の要件のもと、相続人に対して金銭の支払を請求することができる制度を新設しました。

3. 平成30年改正相続法の施行日は?

平成30年改正相続法は原則として2019年7月1日に施行されます。

但し、①自筆証書遺言の方式の緩和については平成31年1月13日、②配偶者の居住権の保護に関する制度については2020年4月1日、③自筆証書遺言の法務局における保管制度については2020年7月10日にそれぞれ施行されることになっています。

4. まとめ

平成30年7月に相続法は約40年ぶりに改正されました。

今回の相続法改正の主たる内容は、①配偶者の居住権を保護する制度の新設、②遺産分割制度の見直し、③遺言制度の見直し、④遺留分制度の見直し、⑤相続の効力に関する見直し、⑥相続人以外の親族の貢献を考慮する制度の新設の6つです。

平成30年改正相続法は原則2019年7月1日に施行されます。

但し、自筆証書遺言の方式の緩和については平成31年1月13日、配偶者の居住権の保護に関する制度は2020年4月1日に施行されることになっています。

平成30年改正相続法のまとめ
改正内容 内容 施行日
配偶者の居住権を保護する制度の新設 短期配偶者居住権 居住用建物の帰属確定日(但し、最低6ヶ月)または所有者の請求から6ヶ月の居住権 平成32年4月1日
配偶者居住権 遺言・遺産分割による終身または一定期間の居住権
自筆証書遺言の方式の緩和 パソコンにより作成した目録、通帳のコピー、登記簿を添付できる 平成31年1月13日
遺産分割制度の見直し 婚姻期間20年以上の夫婦間の居住用不動産の贈与は遺産の先渡しを受けたものとは扱わない 平成31年7月1日
相続人単独での遺産分割前の遺産である預金の払戻しを認める
相続人により処分された遺産を遺産分割において計算上遺産として計上することができる
遺留分制度の見直し 遺留分減殺請求権の金銭債権化
相続の効力の見直し 遺言等による財産の相続につき法定相続分を超える部分は登記等の対抗要件を具備しなければ第三者に対抗できない
相続人以外の親族の貢献を考慮する制度 被相続人の療養看護等に貢献した相続人以外の親族は相続人に金銭の支払を請求できる

相続手続き・遺言などのご相談予約・お問い合わせは | ご相談予約専門フリーダイヤル | 0120-758-352 | 平日・土日祝 6:00~22:00