法務局における遺言書の保管等に関する法律について
自筆証書遺言の問題点
自筆証書遺言は、その名の通り自分で手書きで作成する遺言です。要件さえ守れば、すぐに作成でき、費用もかかりません。
要件とは➀全文自書、②日付の自書、③氏名の自書、④押印です。
(余談ですが、銀行の貸金庫に保管される方がいます。貸金庫は厳重な保管場所で安心ではあります。しかし、いざ遺言者がなくなった場合、その貸金庫を開けるために金融機関の所定の用紙に相続人全員の実印を押印し、印鑑証明書の添付が必要であるため、貸金庫を開けることに苦労をされる方もいらっしゃいます。ご注意ください。)
自宅で遺言書を保管する場合、問題点は、①遺言書の紛失や亡失です。そして、②相続人らにより遺言書を廃棄、隠匿、改ざんをされる恐れもあります。
このような問題点から公証役場で公正証書遺言を選択される方が多くいました。
法務局における自筆証書遺言書保管制度の創設
そこで上記のような問題点の対応策として、法務局で自筆証書遺言書を保管する制度が創設されました。
法務局で保管する利点としては、
- 法務局に保管されるので遺言書を覗き見ることができず、プライバシーを確保できること
- 全国の法務局で同一のサービスを提供できること(全国どの法務局でも対応が同じ)
- 原本とともにデータも保管されること
- 相続人の一人が相続開始後に遺言書の写しの交付閲覧をした場合、他の相続人にも遺言書が保管されていることを通知してくれること
- 今まで自筆証書遺言では、相続開始後、相続人らにより家庭裁判所での検認手続きが必要でしたが、それが保管制度を利用していれば検認が不要であること
です。
法務局で遺言書を保管する制度の創設により、遺言書の紛失や隠匿等の防止、遺言書の存在の把握が容易になり、遺言者の最終意思の実現に資することになるでしょう。
ただ、この制度が開始するのは、2年後の平成32年です(平成30年7月18日時点)。遺言作成をお考えの方は注目する必要があるといえるでしょう。
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