
認知症の人の所有住宅 221万戸
はじめに
9月16日付けの中日新聞に、「認知症の人が所有する住宅が2021年現在、全国に221万戸あるとの推計を第一生命経済研究所がまとめた。」との記事が掲載されました。
「約30戸に1戸に当たる計算で、40年には280万戸に増える見通し。」ともあります。
認知症の方のご自宅であった不動産が、介護施設への入居により空家になることもあります。
空家の管理が適切になされていればよいですが、放置したままですと近隣とのトラブルになる恐れもあります。
また、売却したい場合でも、ご本人の判断能力に衰えがある状況ではスムーズに売却ができず、成年後見制度を利用しなければいけないケースもでてきます。
その場合でも元自宅不動産の売却においては家庭裁判所の許可が必要となる事もあり、手間や時間がかかってしまいます。後見制度は一度スタートすると、本人の判断能力の回復がない限り途中でやめることができません。
「不動産の売却手続きが終了したから、もう後見人は必要ないよ」という訳にはいかず、後見人報酬の負担が、ご本人が亡くなるまで続きます。
そういったこともあり、なかなか成年後見制度の利用が進んでいない現状があります。
事前に対策をしておくことで、成年後見制度を利用せずとも、認知症の方の不動産管理をする方法があります。
「家族信託」です。
家族信託のすすめ
ご本人の判断能力がしっかりしているうちに、「家族信託」により信頼できるご家族に財産管理を任せておくのです。
そうすることで、ご本人が認知症になったとしても適切な時期にご家族の方が空家の管理や自宅不動産の売却手続きを進めることができます。
9月14日には、厚生労働省から、「全国の100歳以上の高齢者が過去最多の86510人になった」との発表もありました。
人生100年時代ともいわれ、高齢化の一途をたどっています。亡くなるときまで元気でいられるのが理想ですが、誰しも認知症になる恐れがあります。
健康寿命は、2016年の数値では男性72.14歳、女性74.79歳となっており、平均寿命との差である延命期間(日常生活に制限のある生活を送る期間)が10年程度あることになります。
何も対策をとらず、この延命期間にはいってしまうと、資産が凍結されたりして、ご本人の財産管理についてご本人だけでなくご家族も困ってしまう事になります。
そうならないために、早めに対策をとっておくことが大事です。
「家族信託」についてお悩み・ご相談は専門家まで。
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