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相続対策を始めるベストタイミングは?年齢・ライフイベント・制度別に弁護士が解説

相続対策を始めるベストタイミングは?年齢・ライフイベント・制度別に弁護士が解説

公開日:2020年7月17日 更新日:2026年6月30日

「親がまだ元気なうちに、何か手を打っておきたい」そう思いながら、何から始めればいいかわからないまま時間が経っていませんか。相続対策で最も後悔が多いのは「早く動けばよかった」です。認知症の診断が出た時点で、遺言・家族信託・生前贈与はほぼすべて手が打てなくなります

このページでは、親の年齢や家族の状況に合わせて「今何をすべきか」を具体的に整理します。

すでに手続きを進めていて、弁護士や専門家に相談してみたい、サポートを受けつつ進めたいと思っている方は下記からお気軽にお問い合わせください。

相続対策は「親が元気なうち」に進めるべき3つの理由

相続の準備は「まだ早い」、「親が元気なうちは関係ない」と思われがちですが、実際には、早めに動くことでしか防げないトラブルや不利益が数多くあります。

ここでは、相続対策を「親が元気なうち」に進めるべき3つの理由を解説します。

1. 認知症などで判断能力が失われると、手続きが進められない

遺言書の作成や家族信託、生前贈与など、生前に進められる相続対策の多くは、本人の意思が前提となっているため、判断能力が保たれているうちにしか行えません。

認知症を発症してしまうと、口座が凍結して使えなくなったり、不動産の処分ができなくなったりするため、同一家計の家族に蓄えがない場合は、生活資金を確保することさえ難しくなるケースがあります。

2. 「相続税対策」や「贈与」には時間がかかる

相続財産は相続税の課税対象となるため、場合によっては遺された家族に大きな税負担を強いることになります。

相続税は、財産の総額だけでなく、どのように分けるか・いつ贈与を行うかによっても変わります。そのため、節税を考えるなら「相続発生の直前」ではなく、数年単位での準備が欠かせません。

3. 家族間トラブルの予防

どのような財産があるか、誰が相続人にあたるかを共有しないまま亡くなってしまうと、遺された家族は、遺産分割前の調査の段階で多くの時間を割かなければなりません。

特に、家族に明かしていない子がいる場合や借金がある場合などは、相続人の範囲や遺産の内容をめぐって争いが生じやすくなります。円満だと思っていても、お金をきっかけに家族関係に亀裂が入るケースも少なくありません。

このようなことを考慮して、相続対策は「いつか必要になるもの」ではなく、「今からできることを少しずつ始めておくべきもの」です。

では、実際にどのようなタイミングで、何から始めればよいのでしょうか。

次の章では、相続対策を始める具体的な「ベストタイミング」の目安を紹介します。

相続対策を始める具体的なタイミングの目安

前述のとおり、相続に関する準備や対策は、早ければ早いほど選択肢が広がり、柔軟に対応することができます。ただ、何かきっかけがないと難しいというのが実情かと思います。ここでご紹介するのは、「このようなタイミングで一度相続を考えてみるのはいかがでしょうか」という目安です。

もちろん、この時期に始めたからといって、すべての相続トラブルを完全に防げるわけではありません。それでも、早めに意識しておくことで、後悔しない相続の準備につながります。

自分の年齢で考える:60代後半~70代が検討のひとつの目安

相続対策を始めるひとつのタイミングとして、おおよそ60代後半から70代に差しかかった頃が一つの目安になります。

仕事を退職し、今後の収入(給与・年金)や支出の見通しが立つ時期であり、家族構成や財産の状況も安定しているため、ご自身やご家族の将来を現実的に見つめ直しやすいタイミングといえます。

また、この年代は健康状態が変化しやすく、判断能力や体力の衰えが徐々に見え始める時期でもあります。「まだ大丈夫」と思えるうちに準備を始めることが、後悔のない相続への第一歩です。

さらに、親世代がご健在である場合は、ご自身の相続とあわせて、親世代の相続についても整理しておくとよいでしょう。

二世代分の相続を見据えておくことで、財産の承継や税金の負担をよりスムーズに考えることができます。

  • 50代前半 ─ 家族構成が安定、親の相続も意識し始める
  • 60代前半 ─ 退職金・年金など資産が確定し始める
  • 60代後半〜70代 ─ 相続対策の検討・実行期(遺言/贈与/信託)
  • 80代〜 ─ 見直し・信託管理フェーズ

ライフイベントで考える:人生の節目が“備えどき”

相続対策は、特別な出来事がなくても始められますが、ライフイベントの節目をきっかけに考えると、自然に行動へ移しやすくなります。

たとえば、次のようなタイミングは、相続や財産の整理を意識しやすい時期です。

  • 子どもが結婚・独立したとき
  • 自宅や不動産の売却・住み替えを検討するとき
  • 退職や年金受給が始まるとき
  • 配偶者や兄弟姉妹など、家族に病気や介護が生じたとき
  • ご自身や配偶者の健康に不安を感じ始めたとき
  • 住宅ローンを完済したとき
  • 所有する賃貸物件の建て替えや大規模修繕を計画するとき

これらの出来事は、生活の区切りであり、財産の整理や家族の将来を考える良いタイミングです。

「財産の名義をどうするか」、「家族にどのように残すか」といった話題も、こうした節目なら抵抗感が少なく、家族で話し合いやすいものです。

早い段階で家族と方向性を共有しておけば、いざというときに慌てることなく、円満な形で次の世代へ想いをつなげることができます。

実際に動き出すタイミングと進め方

相続対策を考え始めるきっかけをつかんだら、次は実際にどの対策から始めるかを検討しましょう。

生前贈与や遺言書の作成、家族信託など、目的に応じた方法を選び、効果が出やすい順番・時期を意識することが大切です。

遺言書の作成:判断能力があるうちに

遺言書の作成に法律上の期限はありませんが、判断能力が保たれていること(=遺言能力)が絶対条件です。

一度作ってしまえば、あとは定期的に内容を見直すだけで済みますので、財産や家族構成がほぼ確定する「退職後」や、配偶者・子の生活が安定してきた時期に一旦作成しておくと、安心です。

遺言について詳しくはこちらarrow_forward

家族信託・後見制度:判断力に不安を感じた時点で

遺言と同様に、家族信託や任意後見制度も、本人の判断能力がはっきりしているうちにしか契約できない制度です。

認知症を発症し、判断能力が不十分になってしまうと、口座の凍結や不動産の処分ができなくなり、家族であっても財産を管理・活用できなくなります。

「最近もの忘れが増えてきた」、「通院や介護の話題が増えた」こうした傾向が、信託や後見を検討すべきサインです。早めに仕組みを整えておけば、将来的な介護費用や生活費の確保もスムーズに行えます。

家族信託について詳しくはこちらarrow_forward
任意後見について詳しくはこちらarrow_forward

生前贈与:節税を意識するなら「できるだけ早く」

相続開始前3年以内の通常の贈与は相続税の対象になるため、なるべく早くから年間110万円の少額贈与をコツコツ続けることが結果的に節税に繋がります。

なお、近年の改正により、この「相続開始前3年以内」のところは「7年以内」に変更となりました(令和9年から12年にかけて段階的に3年から7年に拡大していく経過措置はございます)。これにより、できるだけ早めに対策を講じることがより重要となっております。

時期につきましては法定相続人の数にもよりますが、財産総額5,000万円以上であれば6〜8年前から、1億円以上ある場合は10年以上前からの長期的設計が必要となります。

生前贈与について詳しくはこちらarrow_forward

相続対策のタイミングについてよくあるご質問

相続対策をしないまま親が認知症になり判断能力を失った場合、どうすればいいですか?

この場合は、家庭裁判所を通じて「成年後見制度」を利用し、後見人が本人に代わって財産を管理することになります。

成年後見制度は、本人の財産を守るための強力な仕組みですが、任命された後見人以外は財産に一切関与できません。そのため、相続税を減らす目的で財産を運用したり、贈与を行ったりすることはできなくなります。

相続が発生した後からでも、配偶者控除や小規模宅地等の特例など、適用できる制度はありますが、これらは事後的な対処に限られるため、判断能力があるうちに信託や遺言を準備しておくことが最も重要です。

相続の相談は、いつ・どんなときに弁護士へすればいいですか?

相続の手続きや対策は、「相続税がかかりそう」、「家族と将来のことについて話しづらい」と感じた段階で相談して構いません。まだ具体的な方針が決まっていなくても、弁護士に話すことで「何を」、「どの順番で」進めればよいか整理できます。

また、相談の時間をより有効に使うために、事前に相談票arrow_forwardに沿って情報をまとめておくと、スムーズで充実した相談につながります。

生前贈与として毎年110万円を贈与し続けると、税務署から「まとまった贈与(定期贈与、連年贈与)」と見なされてしまうリスクがあると聞きました。どうすれば回避できますか?

毎年同時期に同じ金額を同じ人に対して継続的に渡している場合、これを一定のまとまった金銭を単に分割して支払っているとみなされ、贈与額全体を課税対象とされる可能性があります。

例えば、祖父が孫に対し毎年110万円ずつ同じ時期に贈与していた場合、これを年110万円の贈与とされず、1,100万円を10年に渡り年110万円ずつ受け取る権利を最初の年に贈与したとみなされてしまうというリスクが生じることになります。

ただ、これは1,100万円の金銭を10年に渡り年110万円ずつ渡すという意思を祖父が有してこれを孫と約していることが前提となる場合の話ですので、そのような意思で行なわれたものでなければ、課税の問題は生じないことになります。

課税する側から誤解されないために、贈与日、金額などを年ごとに変え、毎年その年の贈与金額にかかる契約書を作成した上で、振込記録などを残すことをお勧めいたします。

相続対策として弁護士や専門家に相談する場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

対策にかかる費用は、ご依頼いただく内容や財産額、専門家の報酬体系によって大きく異なりますが、「何もしなかった場合の未来のコスト」と比較して検討することが重要です。

例えば、弊所の遺言書作成プランは20万円~となっています。これは、将来発生する可能性のある相続トラブルへの対応費用(調停・訴訟など)や、相続手続きが円滑に進まない場合の時間的・精神的な負担をできるだけ減らすための対策費用と考えることもできます。

もちろん、事前に対策を行っても、すべてのトラブルを防げるとは限りません。しかし、あらかじめ専門家と内容を整理しておくことで、相続手続きが円滑に進みやすくなる可能性があります。

初回無料相談では、具体的な費用やサービス内容についてもご説明させていただきますので、まずはお電話ください。

「準備していたつもり」でも、実際に相続が起きると迷うことがあります

生前から相続の準備をしていても、いざ実際に相続が発生すると、「まず何をすればいいのか」、「誰に相談すればいいのか」迷うことも少なくありません。

そんなときに備えて、相続が発生した後に役立つ基礎知識もまとめています。

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相続に関するご相談はお早めに

相続について情報を集めたり、準備の方法を考えはじめている今こそ、ご自身やご家族のためにできることを少しずつ整理しておく絶好のタイミングです。

ただ、実際に手続きを進めようとすると、制度や家族の事情によって迷いや不安を感じる場面もあるかもしれません。

「自分のケースでは何から始めればいいのか」、「このまま進めて大丈夫か」そんな疑問や不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

  • 本記事は、名古屋総合リーガルグループの執筆・編集チームによる制作内容について、所属弁護士・税理士・司法書士が監修を行っています。内容はページ公開時点の情報に基づいており、制度変更等の可能性もありますので、詳細はご相談時にご確認ください。所属士業はこちらarrow_forwardでご確認いただけます。