相続財産になる前に、不動産の所有権を放棄できるのか
相続財産になる前に、不動産の所有権を放棄できるのか
山林や朽ちている住宅など、所有者にとっては不要な不動産があります。不要な不動産は、修繕費などの管理コスト、固定資産税などの維持コスト、第三者に損害を与えるリスクなど、持っているだけでマイナスの資産となってしまいます。不要な不動産をお持ちの方は、自分の代でなんとかしたいと思われるのでしょうが、なんとかできるのでしょうか?
➀所有権を放棄する
現状は所有権の放棄をしても、それを引き取る者や手続きの法令がないので、放棄はできないことになっています。
相続の際には、相続放棄をするという手段はあります。しかし、プラスの財産も放棄してしまうこと、相続放棄後に財産を管理する相続財産管理人の選任に費用が掛かること、その相続財産管理人が管理を引き継ぐまで相続放棄した者が不動産を管理する義務があること、などから不動産放棄のための相続放棄はあまりなされていないようです。
②引き取り手を探す
・売却する
不動産屋さんを利用したり、土地周辺の登記簿を取得して隣地所有者に購入してもらうなどの方法があります。
・寄付する
自治体に寄付を相談してみる方法です。可能性は低いですが、公共施設(道路、河川、公園、集会所など)に利用できる場合は寄付を受けてくれるかもしれません。一定条件の農地の場合、譲渡のあっせんをしている自治体もあるようです。また空き家を探している人と結び付けてくれる制度を実施している自治体もあるようです。
③建物の場合、取り壊す
取り壊しには費用が掛かりますが、自治体によっては、取り壊し費用を補助してくれるところもあります。なお、取り壊した建物に登記がされている場合は滅失登記費用もかかります。また更地にすると、土地の固定資産税の負担が増える場合がありますので注意が必要です。
このように一度所有してしまうと、処分することは非常に難しいので、売却・活用を念頭に長期戦で臨むことになります。
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