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秘密証書遺言書

秘密証書遺言書

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遺言書には主に3つの種類の遺言書があります。

自筆証書遺言書と公正証書遺言書は多く作成されています(公正証書遺言書10万5350件、自筆証書遺言書の検認数1万6888件平成28年度)が、秘密証書遺言書(年100件程度)はどのような特徴があるのでしょうか?

1.秘密証書遺言書とは?

秘密証書遺言書とは、自らする遺言の内容を誰にも明らかにせずに秘密にしたまま公証人に遺言の存在を証明してもらう遺言のことです。

2.秘密証書遺言書のメリットとは?

① 内容を秘密にできる

秘密証書遺言書の一番のメリットは、遺言書の内容を、相続人や公証人を含め誰にも秘密にして、遺言書の存在を公証人に証明してもらえることにあります。
公正証書遺言書は、その作成時に遺言の内容や遺産の内容を公証人及び証人には公開しますが、秘密証書遺言書は遺言書の内容及び遺産の内容は秘密です。

ただし、証人には遺言書の内容は秘密ですが遺言書の存在は知られてしまいます。証人に黙っていてもらうには、契約により証人に秘密保持義務を負わせなければなりません。

しかし秘密という点では、自筆証書遺言書は遺言者1人で作成できるので、第三者に公開しなければ秘密にできます。

② 遺言書の存在を認めてもらえる

自筆証書遺言書を作成して誰にも見せなければ秘密を守れますが、遺言者の死後、相続人等利害関係人が秘密にしている遺言書を発見できない恐れがあります。

秘密証書遺言書は公証人に遺言者の遺言書が存在することを公証役場に認めてもらえることが自筆証書遺言書と異なるメリットです。遺言者の死後、相続人等利害関係人は公証役場に遺言書の有無について検索することが可能です(ただ公証役場でも秘密証書遺言書の内容までは確認できません。)。

遺言書検索については公正証書遺言書も同じく遺言書の有無を公証役場で検索可能です。

③ 変造の恐れがない

秘密証書遺言書は封筒に入れ封印するので、変造の恐れがありません。

なお、公正証書遺言書も公証役場に原本が保管されているので、変造の恐れはありません。

④ 遺言書作成は代筆やパソコン作成でも良い

秘密証書遺言書は遺言書に署名押印と、遺言書を入れる封筒の封につき遺言書に押印した印と同じもので封印して公証役場に持参して作成します。つまり署名のみ手書きで、かつ押印があれば遺言書の内容や遺産の内容については手書きでする必要はなく、パソコンで作成し印刷したものでも代筆でもかまいません。
また封筒に公証人が日付を記載するので、遺言書内に日付の記載が無くても遺言書が無効になりません。
ただし、遺言内の印影と封筒の封印の印影が異なる場合は秘密証書遺言は無効になってしまいますので注意が必要です。

とはいえ、秘密証書遺言書でも自筆で書くことが可能であれば自筆で書いておくことをおすすめします。
なぜなら万が一、秘密証書遺言書としては不備があるという場合でも、自筆証書遺言書としては有効と判断された場合、自筆証書遺言書として認めてもらえるからです(民法971条)。

3.秘密証書遺言書のデメリットとは?

① 意思が反映されなかったり、遺言書が無効になる恐れがあります

遺言書は法律上効果があるように記載しなければ作成者の意思がしっかり反映されないことがあります。
秘密証書遺言書は遺言書の内容までは公証人が確認しないため、遺言書の存在は確認されても、遺言書自体は無効なものになっている恐れがあります。

② 検認が必要です

秘密証書遺言書の内容は公証人の関与がないので、自筆証書遺言書と同様に相続開始後に遺言の検認を家庭裁判所に請求しなくてはいけません。

秘密証書遺言書は家庭裁判所の検認まで封筒の開封は避けてください。

③ 公証役場を利用する必要があり、費用と証人2名必要です

公正証書遺言書と同じく、公証役場にて公証人と証人2名に秘密証書遺言書を証明してもらう必要があります。

秘密証書遺言書作成の公証役場へ手数料は約1万1000円で公正証書遺言書作成よりは費用は抑えられますが、自筆証書遺言書と比べると費用がかかります。

④ 滅失隠匿の恐れがあります

秘密証書遺言書は公証役場に保管されないので、自筆証書遺言書と同じく自分で遺言書を保管しなければなりません(令和2年7月10日法務局の遺言保管所で自筆証書遺言書を保管してもらうことができます)。
秘密証書遺言書は相続人等が遺言書を見つけられないということがないようにする必要があります。

以上のとおり、特に遺言書の内容を秘密にしたいが、遺言書の存在を公証役場に認めてもらいたい場合に秘密証書遺言書を利用します。しかし、秘密証書遺言書のメリットは他の2つの遺言書でもあるメリットなので、あまり利用されないということかもしれません。

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