遺言書作成例13:昔作った遺言書をなかったことにしたい!~以前の遺言を撤回する場合~ | 遺言,家族信託,後見,相続手続は,名古屋総合相続相談センターに|名古屋市,愛知県
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遺言書作成例13:昔作った遺言書をなかったことにしたい!~以前の遺言を撤回する場合~

遺言書

遺言者○○○○は、平成○年○月○日の自筆証書遺言で、以下の財産を妻○○○○(昭和○年○月○日生)に相続させる旨を遺言したが、この遺言の全部を撤回する。

(1)○○県○○市○○町○番
宅地 ○○・○○平方メートル

(2) ○○銀行○○支店の遺言者名義の定期預金全部
口座番号 ○○○○○○○

平成○年○月○日
○○県○○市○○町○丁目○番地
遺言者 ○○○○ 印

遺言の撤回とは

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遺言は必ずしも死亡の直前にされるものではありません。例えば大きな病気をして手術を受ける前に遺言をひとまず作っておいた場合などは、その後手術が成功して長生きした場合には遺言者の状況や気持ちが変わるなどということはよくあることといえます。このような場合には前の遺言を撤回して新しい遺言をしたいと思うこともあるでしょう。

遺言は、遺言者が死亡して、その効力が発生するまではなんらの法的な効力が生じるわけではないので、撤回することもできます。遺言の撤回が認められるのは、遺言の方式で明示に撤回する場合(民法1022条)の他、前の遺言の内容と抵触する遺言を書いたり、生前に遺言の内容と抵触するする行為をしたり、遺言書を破棄したり、遺贈の場合はその目的物を破棄した場合にも撤回が擬制されることになります。

遺言が自筆証書遺言であった場合には、それを破り捨てて新しく遺言を作成すればいいのですが、遺言のうち公正証書遺言の場合は、原本は公証役場に保管されていて破棄することができませんので注意が必要です。

本事例の遺言では、遺言の方式で前の遺言を撤回しています。撤回には特に理由はいりませんので、本件の遺言でも撤回の理由は特に示されていません。もちろん理由を示しても差支えありません。撤回は一部についてすることもできますが本件では遺言の全部が撤回されています。

なお、新しい日付で、前の遺言と抵触する内容の遺言をすることによっても前の遺言の撤回が擬制されることになりますが、それが本当に抵触しているのか、どの範囲で撤回できているのかが曖昧となったりするおそれもありますので注意が必要です。

なお、遺言を撤回する遺言も法定の方式でなさなくてはなりません。もっとも、遺言の撤回は前の方式と同じ方式の遺言でしなくても構いません。しかし、前の遺言が公正証書遺言であった場合には、撤回の遺言も公正証書遺言の方式でするほうが確実でしょう。何通も自筆証書遺言があるような場合には保管場所がばらばらであったりすると、一部が発見されないことにより思った通りの相続がされないおそれもあるので、注意して下さい。

なお、撤回した遺言をさらに撤回することは、事案を複雑にするために認められていません(民法1025条)。一度撤回してしまった後にやはり前の内容の遺言をしたい場合には、改めて前の内容の遺言を作成することになります。

このように遺言はあとで撤回ができるのですから、万が一のときに備えて早い目に遺言書を作成するのもいいでしょう。


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