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遺言書作成例9:相続人が遺言者より先に亡くなってしまうかもしれない!~予備的遺言を入れる場合~

遺言書

遺言者○○○○は、この遺言書により次の通り遺言する。

1 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を遺言者の長男○○○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。

2 遺言者は、以下のいずれかの場合には遺言者の有する一切の財産を長男の長男である孫の○○○○(平成○年○月○日生)に包括遺贈する。

(1)遺言者の死亡以前に長男○○が死亡した場合
(2)遺言者と長男○○が同時死亡した場合

平成○年○月○日

○○県○○市○○町○丁目○番地
遺言者 ○○○○ 印

代襲相続とは

代襲相続とは、本来は相続人になるはずだった人が、相続開始以前に死亡していたときなどは、その相続人の子や孫が代わって相続人になるという制度です。

例えば、自分の息子が自分より先に亡くなってしまった場合に孫が財産を相続する場合がこれにあたります。孫も亡くなっていればひ孫が代襲相続します。もっとも相続人のうちでも兄弟姉妹についてはひ孫までは代襲相続しません。

「相続させる旨の遺言」と代襲相続の判例

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「相続させる」旨を書いた遺言書は、特段の事情がない限り、遺産分割方法を定めた遺言であり、相続開始と同時に、特定の財産の所有権が特定の相続人に移転する効果が生じるとされます(最判平成3年4月19日)。

「以下の財産は○○に相続させる。」といった遺言がされた場合には、その財産は、遺言の効力が生じると同時にその指定された人に帰属します。では、この指定された人が遺言を書いた人より先に亡くなってしまった場合、その指定された人の子や孫に財産が代襲相続されるのでしょうか。

この点については最近最高裁の判例がでました。判例によると、「相続させる」旨の遺言にかかる条項と遺言書の他の記載との関係、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、当該推定相続人の代襲者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り代襲相続の規定は適用されないとします(最判平成23年2月22日)。

つまり、相続させる旨の遺言にははっきりとその指定された人の子(あるいは孫に)相続させる旨が記されていない限り、この遺言については効力が生じないことになります。

そこで、このようなケースで、遺言者が、長男に全財産を渡したいが、長男が自分より先に亡くなった場合には長男の子である孫に財産を渡したい場合には、その旨を遺言に示した予備的遺言を書いておくことが必要になります。

それがこの文例です。予備的遺言は、例えば子どもがいない夫婦ですでに自分の親も亡くなっているような場合、疎遠な自分の兄弟に遺産がいくことを阻止する場合などにも利用されます。すなわち、このような場合には妻に全財産を相続させる遺言を書き、予備的に、妻が先に亡くなった場合には兄弟以外の他の人に遺贈する旨を記した遺言を書くことになります。


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