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遺言書作成例10:妻の老後が心配で、誰かに妻の面倒をみてもらいたい!~甥に不動産を遺贈する代わりに、妻の生存中は生活費を支払ってもらう負担付遺贈の遺言書~

遺言書

1 遺言者○○○○は、次の財産を甥の○○○○(○○県○○市○○町○丁目○番○号)に遺贈する。
受遺者○○○○は、受益者である遺言者の妻○○○○に対して同人が生存中にその生活費として月額○万円を毎月末日に○○銀行○○支店の受益者の普通預金口座(口座番号○○○○○○○)に振り込むこと。

(1)○○県○○市○○町○○丁目○○番
宅地 ○○・○○平方メートル

(2)同所同番地
家屋番号 ○○番
木造瓦葺平家屋建 居宅
床面積 ○○○○平方メートル

2 この遺言書の遺言執行人として○○○○(○○県○○市○○町○丁目○番○号)を指定する。

平成○年○月○日
○○県○○市○○町○丁目○番地
遺言者 ○○○○ 印

負担付遺贈とは

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負担付遺贈とは、受遺者に法律上の給付義務を負わせる付款がついた遺贈です。

負担の履行をしなければならない者が受遺者です。つまり、遺言者である遺贈者が受遺者に財産を譲る見返りとして、受遺者になんらかの義務を負担してもらうことを求める遺贈が負担付遺贈なのです。負担の履行を受ける人を受益者といいます。

通常は、文例のように自分の妻の老後が心配な場合などに利用されますが、最近では自分の死後にペットの世話を頼む場合などにも用いられているようです。

なお、受遺者は遺贈の目的の価値を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行することになります(民法1002条1項)。

また、負担付遺贈の目的となる財産の価額が相続の限定承認や遺留分回復の訴えによって減少したときには、その減少した割合に応じて負担の義務を免れることになります。つまり、もらえる財産の価値以上に、過度の負担を負うことがないようになっているのです。受遺者が負担を履行しないまま死亡した場合には受遺者の相続人がその義務を承継することになります。

しかし、さまざまな事情から、いくら財産をもらえるからといって受遺者は、義務を負担するのが嫌であったり、無理であったりする場合もあるでしょう。

このような場合には遺贈を放棄することもできます(民法986条)。放棄されてしまっては、遺言者は自分の死後の心配ごとを解消することはできないので、負担付遺贈の遺言をする場合には、あらかじめ受遺者と十分に話し合いをしておくべきでしょう。

また、受遺者が、負担を実行するかを、確認させるためにも遺言執行者を指定しておくと良いでしょう。受遺者が遺贈を放棄した場合には、負担の利益を受けるべき者つまり、受益者は自ら受遺者になることができます。本件では、甥が生活費の支払いをしなければ、妻がこの不動産を取得することができるのです。

もし、受遺者が決められた負担を履行しないときは、相続人あるいは遺言執行者が、義務を履行するように催告をすることができます。それでも履行がされない場合は遺言の取消しを裁判所に請求することもできます。


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