生前対策として家族信託を活用した事例
概要
80代のご夫婦(夫A・妻B)とそのお子さんCから、ABの生前対策をしたいとのご相談がありました。
ABご夫婦は、ご自宅で二人暮らしで、ご自宅の名義はABになっています。Cは同区内にお住まいで、時々実家に寄ってご両親のサポートをされていました。ABには、ほかにお子さんDがいますが、Dとは10年近く疎遠で年1回電話がある程度でした。
ご家族の心配は、今はAB二人で自宅生活が出来ているが今後体調如何で施設等に入る必要が出てきた場合に施設費用の支払がスムーズにできるかどうか、預金等で賄えない場合は自宅不動産を処分してもよいがその手続きがスムーズにできるか。
また、もしABの死後、財産が遺るようであれば今後も世話になるCやCの子供達に譲りたいがDと揉めないかも心配されていました。
そこで、家族信託と遺言の作成を提案いたしました。
解決へ向けた提案
① 家族信託:実家信託
信託財産として自宅不動産とある程度の預金を、受託者Cに財産管理をまかせ、いざというときに施設入居費用の支払や不動産の売却をCが行えるようにしました。
公正証書による信託契約書作成、不動産の名義変更・信託登記手続き、銀行での信託口口座開設のサポート、自宅の火災保険契約の変更手続きの案内などをさせていただきました。
② 遺言
ABの財産としては上記①信託財産に入れない預金等がありますので、それらについては、ABそれぞれが遺言を作成し、CやCの子供達が相続できるようにしました。
なお、信託や遺言によりABの遺産をCらが承継することになるので、Dの遺留分対策として、付言事項に、このような遺言内容としたABの気持ちを書いていただきました。