親や自分の将来に不安がある/認知症になる前に準備したい方へ
公開日:2025年11月28日 / 更新日:2026年1月26日
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- 親や自分の将来に不安がある方へ|認知症になる前に備える生前対策
年齢を重ねるとともに「将来、認知症になったらどうしよう」、「財産や生活のことで家族に迷惑をかけたくない」といった将来の不安も出てくるでしょう。
親が元気なうちに財産や暮らしの意思を確認しておくこと、またご自身に万が一のことがあった場合に備えて準備しておくことは、自身の安心だけではなく、ご家族の安心につながります。
このページでは、判断能力があるうちに検討しておきたい「家族信託」や「任意後見」など、将来の不安を解消するための準備について分かりやすく解説します。
すでに手続きを進めていて、弁護士や専門家に相談してみたい、サポートを受けつつ進めたいと思っている方は下記からお気軽にお問い合わせください。
お悩みはおひとりで抱えず、わたしたちにご相談ください
認知症になると何が起きるのか?
日本では、65歳以上の約3人に1人が認知症またはその予備軍にあると推計されています(令和4年度の調査より)。
認知症になると「判断能力が不十分」とみなされ、次のような問題が生じます。
- 本人単独で財産管理が困難
銀行口座の解約・引き出し、不動産の売却などができなくなる - 契約行為が無効になる可能性
有料老人ホームとの契約や不動産売却なども、後から無効とされる場合がある - 医療・介護の手続きに支障
入院の同意や施設入居契約など、家族だけでは対応できないケースがある - 相続や遺言の準備ができない
遺言書の作成や生前贈与など、判断能力が前提となる対策が不可能になる
| 💡実際のご相談でも「親が認知症になってから慌てて対策を考えた」ケースは少なくありません。 ただその段階になってしまうと、ご家族が代行するには法的な限界があり、最終的に成年後見制度の利用が唯一の手段となってしまう可能性があります。 だからこそ、認知症が進行する前の元気なうちに準備しておくことが何より大切です。 |
認知症になったら成年後見制度しか選べない?仕組みと注意点
成年後見制度とは?
成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分になった人に代わって、家庭裁判所が選任した後見人が財産管理や契約を行う仕組みです。
成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度の2つがありますが、すでに認知症と診断され、判断能力の低下が認められた状態では法定後見制度の方しか利用することができません。
法定後見制度のデメリット
- 費用が生涯、継続的にかかる
申込金などの一時金のほか、後見人が専門家だった場合の報酬金が生涯続くことになります。
報酬金は財産額により決定され、一般的には月額2万〜6万円が発生します。 - 原則として途中で終了することができない
認知症は回復が難しいため、一度開始すると終了が困難です。 - 後見人は指定できず、原則解任もできない
多くの場合、弁護士や司法書士が選任される。 - 財産の管理に自由度がない
資産運用・売却・生前贈与などは基本的に認められない。 - 開始まで時間がかかる
一般的には申立から2〜4か月。 - 親族トラブルの要因になりえる
財産管理を巡り疑念が生じるケースも。
詳しくは成年後見の申立は慎重にopen_in_newをご確認ください。
【想定事例】成年後見を利用して思わぬ負担が生じたケース
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Bさん(77歳・年金暮らし)/軽度の認知症 認知症が進行し、銀行で「判断能力に不安があるため、定期預金の解約は成年後見人が必要」と言われました。 医療費や入居一時金に充てる予定が使えず、申立が完了するまで数か月、家族が負担することに。 さらに成年後見の報酬が月3万円発生し、負担が大きくなりました。 |
| 💡成年後見は最終手段です。 認知症の高齢者を守るメリットがある一方で柔軟性が乏しいため、元気なうちの生前対策が重要です。 |
認知症になる前に準備しておきたい4つの対策
1. 遺言書の作成
遺言書は、認知症が進んでしまうと作成することができません。
自分の意思で財産の引き継ぎ方法を決められる唯一の手段であり、相続後の家族トラブルを防ぐ有効な方法です。
以下のページも参考にしてください。
| 遺言書を書いてみましょうarrow_forward | 遺言書作成例arrow_forward |
2. 生前贈与などの相続税対策
生前贈与などの契約行為も、重度の認知症になってからでは行うことができません。
適切な相続税対策を怠ると、家族に不要な税負担が生じる可能性があります。
| 💡相続税がかかる可能性がある場合は、生命保険の非課税枠の活用、不動産の整理など認知症前にしかできない対策があります。 不安な方は相続税がかかるか気になる/財産の整理を始めたい方へopen_in_newをご覧ください。 |
3. 家族信託や任意後見で認知症に備える
生前に判断能力があるうちに備える方法として「家族信託」と「任意後見」があります。
家族信託:信頼できる家族に財産管理を委託する仕組み(生前〜死後の承継指定まで柔軟)
任意後見:将来の判断能力低下に備え、後見人を事前に決めておく契約
【家族信託と任意後見の比較】
| 家族信託 | 任意後見 | |
|---|---|---|
| 対象財産 | 契約で定めた特定の財産 | 本人のすべての財産 |
| 効力発生 | 契約締結後すぐ | 裁判所の監督開始後 |
| メリット | 柔軟な財産管理が可能/生前〜死後の承継を設計できる | 後見人を本人が選べる/裁判所の監督で安心 |
| おすすめの方 | 不動産承継をスムーズに進めたい人/信頼できる家族がいる人 | 専門家に任せたい人/生活・医療面も広く任せたい人 |
4. 生前・認知症後・死後を通じて備えるためのその他の制度
家族信託と任意後見を併用すれば、生前から認知症後の管理まで広くカバーできますが、死後事務は別制度で補う必要があります。
財産管理委任契約
判断能力があるうちに、預金管理や支払いなどを代理人に任せられる契約です。認知症発症後は継続できないため、任意後見や家族信託と組み合わせて利用します。
詳しくは財産管理委任契約arrow_forwardをご確認ください。
死後事務委任契約
本人が亡くなった後の葬儀・納骨・医療費精算・公共料金解約などを信頼できる人に任せる契約です。相続人以外にも委任でき、家族の負担を減らせます。
詳しくは死後事務委任契約arrow_forwardをご覧ください。
| 💡認知症対策は「生前 → 認知症後 → 死後」の3段階で考えることが大切です。 家族信託・任意後見・財産管理委任契約・死後事務委任契約・遺言を組み合わせることで、抜け漏れのない備えができます。 |
あわせて知っておきたい相続対策
認知症に関わる相続対策以外にも、相続後の問題は多く存在します。
次のような気がかりがある場合は、以下のページも参考にしてください。
| 家族でもめたくない/円満に相続を進めたい方へopen_in_new | 相続税がかかるか気になる/財産の整理を始めたい方へopen_in_new |
迷った方は、相続対策診断ツールopen_in_newへ戻り、ご自身の状況を確認してみてください。
「準備していたつもり」でも、実際に相続が起きると迷うことがあります
相続の準備をしていても、いざ実際に相続が発生すると、「まず何をすればいいのか」、「誰に相談すればいいのか」迷うことも少なくありません。
そんなときに備えて、相続発生後に役立つ基礎知識もまとめています。
| 相続放棄open_in_new | 遺産分割協議open_in_new | 相続税の申告open_in_new |
相続に関するご相談はお早めに
相続について情報を集めたり、準備の方法を考えはじめている今こそ、ご家族のためにできることを少しずつ整理しておく絶好のタイミングです。
ただ、実際に手続きを進めようとすると、制度や家族の事情によって迷いや不安を感じる場面もあるかもしれません。
「自分のケースでは何から始めればいいのか」、「このまま進めて大丈夫か」
そんな疑問や不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
お悩みはおひとりで抱えず、わたしたちにご相談ください
- 本記事は、名古屋総合リーガルグループの執筆・編集チームによる制作内容について、所属弁護士・税理士・司法書士が監修を行っています。内容はページ公開時点の情報に基づいており、制度変更等の可能性もありますので、詳細はご相談時にご確認ください。所属士業はこちらarrow_forwardでご確認いただけます。















