遺言と家族信託はどちらが必要?目的別に解説 | 遺言,家族信託,後見,相続手続は,名古屋総合相続相談センターに|名古屋市,愛知県
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遺言と家族信託の違い|目的別の選び方と併用のポイント

遺言と家族信託の違い|目的別の選び方と併用のポイント

公開日:2026年7月2日、更新日:2026年7月2日

相続対策で、家族信託と遺言はどちらも「生前に財産の承継先を指定できる」という共通点がありますが、主にできること・守れる範囲・タイミングが異なります。このページでは、弁護士・司法書士が両者の違いをわかりやすく整理し、目的別の選び方をご紹介します。

すでに相続手続きを進めていて、弁護士や専門家に相談してみたい、サポートを受けつつ進めたいと思っている方は下記からお気軽にお問い合わせください。

家族信託と遺言はどちらも「財産を守るための準備」

前述しましたが、家族信託と遺言はどちらも財産を誰にどのように遺すか指定できる生前の(認知症などで判断能力が低下していると判断される前に進める)手続きです。

共通する目的は、本人の意思を明確にし、家族がもめないように備えることにあります。
ただし、両者には大きな違いがあります。それは「いつから効力を持つのか」と「どの範囲まで財産を守れるのか」という点です。

家族信託:生前から財産の管理・活用ができる

家族信託は、契約を結んだその日から効力が発生し、財産の管理・運用・処分までを信頼できる家族に託すことができます。
たとえば、将来の認知症による財産凍結リスクに備えたり、不動産の管理を家族に任せたりすることが可能です。

遺言と比較したときの家族信託のメリット・デメリット

家族信託のメリット・デメリット

  • 生前から財産の管理・活用ができる
  • 認知症など判断能力の低下にも対応できる
  • 契約内容が複雑で、専門家の関与が必要(手間と費用がかかる)
家族信託について詳しくはこちらarrow_forward

遺言:亡くなったあとに、財産をどう分けるかを指定

遺言は、書いた方が亡くなったあとに初めて効力を発揮します。
つまり、「死後の財産の分け方」を決めておくための手続きで、生前に財産を管理したり運用したりすることはできません。

家族信託と比較したときの遺言のメリット・デメリット

家族信託のメリット・デメリット

  • 個人でも作成することが可能
  • 費用が抑えられる
  • 生前の管理をしてもらうことはできない
遺言書について詳しくはこちらarrow_forward

一目でわかる!遺言と家族信託の比較表

比較ポイント 家族信託 遺言
効力が生じる時期 契約を結んだ時点から 亡くなったあと
管理できる範囲 生前の管理・運用・承継まで 死後の財産の分け方
主な目的 財産管理+承継対策 遺産の分配

それぞれの特徴を理解したうえで、どちらが自分やご家族に合うのかを考えてみましょう。
次の章では、目的別に「遺言が向いている人」と「家族信託が向いている人」の違いを紹介します。

家族信託と遺言どちらを選ぶべき?目的別のおすすめ選び方

結論から言うと、基本的には家族信託と遺言は併用するのが安心です。

なぜなら、家族信託は生前の財産管理に強く、遺言は死後の分配を確実にするという役割の違いがあり、組み合わせることで生前から死後まで一貫して備えることができるからです。ただし場合によっては遺言だけで事足りるケースもあります。ここでは、併用を基本としつつ、遺言だけでも十分なケースをご紹介します。

併用するときは、契約の優先度と全体の公平性に注意

先ほど触れたように、家族信託は「生前の財産管理」に強く、遺言は「死後の分配」に強い制度です。しかし、厳密に言えば、家族信託でも生前に信託財産として預けた財産を誰に引き継がせるか(帰属権利者)を指定することで、遺言のような効果を持たせることができます。

ここで注意すべきなのが次の2点です。

  • 家族信託は遺言よりも先に効力が発生する契約であるため、家族信託の内容が優先される
  • 信託財産として引き継がせたものは、遺産分割の対象にならずに引き継げる(ただし、信託財産やそれによって得た利益は相続財産になり、相続税の対象になります)

このため、特定の子どもだけを受益者にしたり、価値の高い不動産を信託に入れている場合などは、他の相続人から「不公平だ」と思われるリスクがあります。

lightbulb_2家族信託の信託財産として設定したものは、遺産分割を介することなく引き継ぐことができますが、それが他の相続人の遺留分を侵害しているかどうかについては裁判でも判断が分かれているところです。最高裁の判例はまだありませんが、実務上は対象となる可能性が高いという前提で対策を講じることが推奨されています。遺留分のトラブル回避策について詳しくはこちらarrow_forwardをご覧ください。

遺言だけでも十分なケース

すべての方に家族信託が必要というわけではありません。
次のようなケースでは、遺言だけで十分に備えられることがあります。

1. 財産関係がシンプルで、分け方が明確な場合

このような場合は、遺言で分け方を明確にしておくだけで十分です。
複雑な契約を結ばなくても、相続人同士の争いを防ぎ、スムーズに手続きを進めることができます。

2. 法定相続人以外に財産を遺したい場合

お世話になった孫、甥・姪、再婚相手、内縁の配偶者など、法定相続人ではないが、財産を分けてあげたい人がいるケースです。

このような場合、遺言で「遺贈」として明確に指定することで対応可能です。
家族信託でも受益者として指定することはできますが、契約内容が複雑になりやすく、シンプルに意思を伝えるなら遺言の方が確実です。

家族信託だけで遺言が不要なケースは限定的

家族信託では、信託契約の対象となる財産(信託財産)をあらかじめ特定しておく必要があります。
しかし、すべての財産を信託に組み入れられるわけではなく、制度上・実務上の理由から信託の対象としにくい財産も存在します。

例えば、年金の受取口座に入る資金や、信託契約後に新たに取得する財産、農地など一定の制約がある資産については、信託財産に含めず、委託者(親)の固有財産として残ることが一般的です。

そのため、家族信託を利用していても、委託者の死亡時には、これらの固有財産について相続が発生します。
もし分け方を指定する遺言書がない場合には、残された家族間で遺産分割協議を行う必要があり、協議が難航すればトラブルに発展するおそれもあります。

このような事態を防ぐためにも、家族信託を組成する際には、信託に含まれない財産の承継方法を定める遺言書を併用することが重要です。

lightbulb_2どちらが自分に合っているか迷ったときは「今、何に不安を感じているか」を基準に選ぶのも一つの手です。将来の管理・認知症リスクに不安があるなら家族信託、亡くなった後の分配を明確にしたいなら遺言、両方の不安を感じているなら併用が安心です。ご自身の状況を整理してから専門家に相談すると、より具体的な提案が受けられます。

家族信託と遺言に関するよくあるご質問

家族信託で財産を引き継ぐ際、受け取った側(受益者)に相続税や贈与税はかかりますか?

家族信託を設定した時点では、財産の名義は変わりますが、実質的な利益(受益権)は委託者(財産を託す親など)が持っているため、原則として贈与税はかかりません。

しかし、委託者(親など)が亡くなり、次の世代(子など)へ受益権が引き継がれた時点で、その受益権は相続財産と見なされ、相続税の課税対象となります。

銀行の「遺言信託」と家族信託はどう違うのですか?

「遺言信託」は、銀行が遺言書の作成・保管・執行をサポートするサービスです。「信託」という名称がついていますが、家族信託とは全く異なるサービスです。生前の財産管理・認知症対策をしたい場合は、「家族信託(民事信託)」が必要になります。

家族信託と遺言を比較して、手間や費用がかかるのはどちらですか?

信託口口座開設や信託登記など複数の専門家の関与が必要になる手続きがあるので、一般的に家族信託の方が、手間も費用も大きくなります。しかし、その分、親の判断能力が衰えた後の財産管理の確実性は高いです。

公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらが良いですか?

トラブルを避けたい場合は、公正証書遺言がおすすめです。

公証人が内容を確認し、原本を保管してくれるため、遺言が無効になったり、紛失・改ざんされたりするリスクが少ないです。

自筆証書遺言は費用がかからない反面、形式不備や発見されないリスクがある点に注意が必要です。

相続準備の進め方は十人十色です

このページでは家族信託と遺言の違いについてご紹介してきましたが、相続対策には様々なアプローチがあります。以下の診断ではあなたがどんな相続対策から始めたらいいかを簡単に知ることができますので、是非ご活用ください。

「準備していたつもり」でも、実際に相続が起きると迷うことがあります

また、生前にしっかりと準備をしていても、いざ実際に相続が発生すると、「まず何をすればいいのか」、「誰に相談すればいいのか」迷うことも少なくありません。

そんなときに備えて、相続が発生した後に役立つ基礎知識もまとめています。

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家族信託や遺言は、併用を前提に専門家へ相談を

家族信託と遺言を併用する場合、内容の重複や矛盾を防ぐために、1つの専門家チームにまとめて相談することがおすすめです。

名古屋総合法律事務所では、事務所内で弁護士・司法書士・税理士が連携し、ご家庭の事情に合わせた最適な組み合わせをご提案していますので、一つの窓口で幅広い問題に対応が可能です。

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  • 本記事は、名古屋総合リーガルグループの執筆・編集チームによる制作内容について、所属弁護士・税理士・司法書士が監修を行っています。内容はページ公開時点の情報に基づいており、制度変更等の可能性もありますので、詳細はご相談時にご確認ください。所属士業はこちらでご確認arrow_forwardいただけます。