更新日:2026年6月29日、公開日:2026年5月30日
相続における重要なステップとして、「法定相続人の把握」が挙げられます。遺言を作成するにも、相続税を把握するにも相続人の範囲を理解していなければ始まりません。
このページでは弁護士監修のもと「法定相続人の範囲」について分かりやすくまとめました。家族への生前対策をお考えの方も、突然の相続で何から手を付けたらよいか分からない方も、円満な相続の足掛かりとして、このページをご活用ください。
すでに相続に関する手続きを進めていて、弁護士や専門家に相談してみたい、サポートを受けつつ進めたいと思っている方は下記からお気軽にお問い合わせください。
法定相続人とは、亡くなった方(被相続人)の遺産を引き継ぐことが、民法によって定められている人のことを指します。 具体的には、戸籍上の配偶者は常に相続人となりますが、それ以外の血族には第一順位から第三順位までの明確な順位が定められています。先順位の人が1人でもいる場合は、後順位の人は相続人になれません。
上位の相続人が、すでに亡くなっている(もしくは相続欠格または推定相続人の廃除のいずれかの原因で相続権を失っている※)場合には「代襲相続」となり、その子や孫が代わりに相続する権利を引き継ぎます(被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合、代襲相続人となるのは被相続人の甥・姪までです)。
※相続欠格:故意に被相続人や他の相続人の生命を奪おうとしたり、詐欺や強迫で遺言書を作成させたりするなど、重大な不正行為を行った者は、法律上当然に相続権を失う制度です。一切の遺産を引き継ぐことができず、自動的に適用されます。
※相続の廃除:被相続人に対して虐待や重大な侮辱を加える、または著しい非行があった場合に、被相続人が家庭裁判所に申し立てることで、遺留分を有する推定相続人(配偶者、子、直系尊属)の相続権を失わせる制度です(兄弟姉妹は遺留分がないため、廃除の対象にはなりません)。
相続が発生し、いざ戸籍謄本を取り寄せたら想定していなかった相続人が出てきたというケースは少なくありません。疎遠なため、連絡先自体が分からないということも考えられます。その場合は、戸籍の附票から住所を調べ、手紙などでやり取りすることになります。相続手続きには期限があるものも多数あるため、ここで時間をかけすぎると、想定していなかった税負担が課される可能性があります。期限が訪れる前であれば、延長手続きなどの対策ができますので、相続人同士の話し合いが難しいと感じたときは、出来るだけ早期に弁護士などの専門家にご相談ください。
原則として、被相続人の財産を相続できるのは、前述した「法定相続人」に限られます。
しかし、生前の被相続人の強い意思や、特別な事情がある場合、法定相続人ではない第三者(内縁の妻、友人、団体など)も財産を受け取ることができます。その主な方法は、以下の3つです。以下で詳しく解説します。
有効な遺言に「(誰)に(なに)を遺贈する」もしくは「遺産の〇割を(誰)に遺贈する」と記載することで法定相続人以外の人に財産を遺すことができます。
ただし、指定された人が財産を受け取らないという選択(遺贈の放棄)をすることも可能です。
また、遺言で指定したからといって、すべて思い通りに遺産を分けることはできないということにも留意する必要があります。法定相続人の最低限保障された相続財産取得分(遺留分)を考慮していないと、相続発生後に争いになる可能性が高まります。遺留分について詳しくは弊所相続サイト遺留分の割合open_in_newをご確認ください。
※「相続させる」と「遺贈する」という文言は厳密に使い分けられている文言です。誤用があったとしても、一般的な解釈として判断されるケースもありますが、そう判断されないケースもありますので、法定相続人以外の人物に遺産を渡したい場合、「〜を相続させる」という表現は避けた方が安全です。
相続人がいない方の遺産は国庫に帰属しますが、法定相続人以外の親族で被相続人の財産の維持・管理に特別な貢献があったと認められる以下の条件を満たせば、特別縁故者制度を利用できる可能性があります。
被相続人に債権や未払い金があった場合はそれらを清算してから、貢献度の度合いや遺産の総額などを考慮して金額が決定されます。
死亡保険金の受取人指定は、保険契約に基づき指定された受取人へ保険金が支払われるようにする、法定相続人以外が財産を受け取る第三の方法です。
被相続人が生前に生命保険に加入する際、保険金の受取人として法定相続人ではない第三者(友人、内縁の配偶者、事実上の養子など)を指定しておくことで、その指定された人が保険金を受け取ることができます。受取人の指定は後から変更することもできます。
死亡保険金は、被相続人の死亡によって保険会社から支払われるもののため相続財産として数えられません。故に、遺言書や遺留分の影響を受けず、受取人の固有財産として扱われます。ただし、税務上では「みなし相続財産」とされ、相続税の課税対象となるので、税負担についても考慮しておく必要があります。
法定相続人ではない方の相続は、各種控除を受けることができません。思ったより支払う税金が多くなることもあり得ます。法定相続人以外に財産を遺したいとお考えの方、法定相続人ではないが遺産を受け取りたいとお考えの方は、相続の専門家に相談して進めるのがよいでしょう。
相続人の把握は、「法定相続情報一覧図」を作成しながら進めるのがおすすめです。
戸籍のつながりを図にすることで関係性を整理しやすくなり、提出時には原本を返却してもらえるため、コピーを提出する手間が省けます。形式や作成例は法務省公式サイトopen_in_newに掲載されています。相続手続きの最初の段階で作成しておくと、以後の書類整理が格段にスムーズになります。
元配偶者は相続人にはなりません。一方、前の結婚で生まれた子(前婚の子)は戸籍上の親子関係が続いていれば相続人になります。
また、「前婚の子に知られたくないから連絡しない/相続手続きで除外する」といったことは実務上ほぼ不可能です。戸籍や相続手続きで必ず確認されるため、意図的に隠すと手続きが無効になったり、返還請求・損害賠償にまで発展することがあります。生前に対応したい場合は遺言などの法的手段で整理することを検討してください。
行方不明の相続人がいる状態では遺産分割協議を進めることはできません。
まずは住民票・戸籍附票などで所在を確認し、それでも見つからない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任」を申し立てるのが一般的です。
さらに長期間(7年以上)所在不明であれば、「失踪宣告」により死亡とみなして手続きを進めることができます。
いずれの場合も法的判断や裁判所手続きが必要になるため、弁護士など専門家へ相談しましょう。
認知症などにより判断能力が十分でない相続人は、自分で遺産分割協議に参加することができないため、家庭裁判所に申し立てをして成年後見人を選任する必要があります。成年後見人が就任することで、本人に代わって遺産分割協議や相続手続きを進めることが可能になります。
判断能力が十分でないことを隠したまま遺産分割を進めても、登記や金融機関の確認手続きで発覚することがほとんどです。その場合、協議自体が無効となり、手続きのやり直しが必要になることもあります。
遺言書があっても、後々のトラブル回避のため、法定相続人の調査はしておくと安心です。被相続人自身が相続人を正確に把握していないケースもあり、把握していなかった相続人から想定外の請求をされる可能性もあるからです。
相続が発生した際は、遺言の有無にかかわらず、まず法定相続人を正確に把握することが大切です。
法定相続人を把握できたら、次は「どのように遺産を分けるか」「どのように遺すか」を具体的に検討していく段階です。
相続の目的や家族の状況によって、進め方や注意点が変わってきますので、下記のページも参考にしながら、ご自身の状況に合った方向性を考えてみましょう。
| 相続税がかかるか気になる/財産の整理を始めたい方へarrow_forward 財産の把握や節税の基本、名義変更や不動産の整理など |
親や自分の将来に不安がある/認知症になる前に準備したい方へarrow_forward 家族信託や任意後見など、判断能力があるうちにしておきたいこと |
家族でもめたくない/円満に相続を進めたい方へarrow_forward 自分の相続で家族が揉めないように、生前から準備しておきたいこと |
どのテーマから検討を始めればよいか迷う方のために、簡単に方向性を確認できる「あなたの相続対策タイプ診断」もご用意しています。ぜひご活用ください。
どんな相続対策が自分にあっているか分からない方、何から始めればいいか分からない方は、まず「あなたの相続対策タイプ診断」をご活用ください。
相続の準備をしていても、いざ実際に相続が発生すると、「まず何をすればいいのか」、「誰に相談すればいいのか」迷うことも少なくありません。
そこで、実際に相続が発生した後に確認しておきたい基礎知識を下記ページで紹介しています。
| 相続放棄arrow_forward 3か月以内の申述が必要なため、早めの判断が大切です |
遺産分割協議arrow_forward 相続人全員の合意で進める必要があります |
相続税の申告arrow_forward 不動産・金融資産の有無により要否が変わります |
相続について情報を集めたり、準備の方法を考え始めている今こそ、ご自身やご家族のためにできることを少しずつ整理しておく絶好のタイミングです。
ただ、実際に手続きを進めようとすると、制度や家族の事情によって迷いや不安を感じる場面もあるかもしれません。
「自分のケースでは何から始めればよいのか」、「このまま進めて大丈夫か」
そんな疑問や不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。