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認知症になっても家族信託契約は結べる?

公開日:2026年9月18日 更新日:2026年9月18日

親の物忘れが増えてきたり、すでに認知症と診断されていたりすると、

「もう家族信託は間に合わないのでは?」

と不安になる方は少なくありません。

結論から言うと、認知症と診断されていても、家族信託契約を結べる場合はあります。

ただし、すべてのケースで可能というわけではなく、重要になるのは「判断能力」があるかどうかです。

このページでは、司法書士監修のもと、

  • 認知症と家族信託の関係
  • 契約できる場合・できない場合の違い
  • 早めに検討すべき理由

について解説します。

結論:認知症=家族信託ができない、ではありません

「認知症と診断されたら、もう契約は一切できない」

そう思われがちですが、これは正確ではありません。

なぜなら、医学的な「認知症の診断」と、法律上の「契約ができるかどうか」は別の問題だからです。

法律上は、

  • 契約内容を理解できるか
  • 自分の意思で判断できるか

といった点が重視されます。

そのため、認知症と診断されていても、状態によっては家族信託契約を結べる可能性があります。

家族信託を結ぶために必要な「判断能力」とは

家族信託は「契約」なので判断能力が必要です

家族信託は、

「自分の財産を、誰に、どのように管理・運用してもらうか」

を決める契約です。

そのため、遺言と同様に、契約内容を理解し、納得した上で判断できる能力、つまり判断能力が必要になります。

判断能力は「ある・ない」の二択ではありません

判断能力というと、

「ある」「ない」

のどちらかだと思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。

たとえば、以下のように判断能力には幅があります。

  • 軽度の物忘れがある状態
  • 日常会話は問題ないが、複雑な話は難しい状態
  • 自分の意思をほとんど示せない状態

家族信託が可能かどうかは、その時点で契約内容を理解できるかどうかを個別に見て判断されます。

認知症の進行段階別|家族信託が結べる可能性

① 認知症の診断前・軽度の段階

この段階であれば、原則として家族信託契約は可能です。

  • 物忘れはあるが、会話や判断はできる
  • 財産の話をしても理解できる

といった場合には、大きな問題になることは少なく、実務上もこの段階で相談に来られる方が最も多いです。

② 認知症と診断されているが、意思疎通ができる場合

すでに認知症と診断されていても、

  • 会話が成立する
  • 契約内容を説明すると理解できる

といった場合には、家族信託契約を結べる可能性があります。

ただしこの場合は、

  • 契約時の受け答え
  • 内容理解の程度
  • 医師の診断内容

などを慎重に確認する必要があります。

後から「本当に理解していたのか」と争われるリスクを下げるため、専門家の関与が特に重要になります。

③ 中等度〜重度の認知症の場合

以下のような状態の場合、家族信託契約を結ぶことは難しくなります。

  • 契約内容の説明を理解できない
  • 自分の意思をはっきり示せない

この段階になると、家族信託ではなく、成年後見制度など他の制度を検討する必要が出てくるケースが多くなります。

「判断能力があるか」は誰が、どう判断するのか

最終的に判断するのは専門家と公証人です

「家族が見て大丈夫そうだから」という理由だけで判断することはできません。

実際の家族信託契約では、

  • 弁護士や司法書士などの専門家
  • 公正証書で作成する場合は公証人

が、本人の受け答えや理解度を確認します。

医師の診断書が必要になることもあります

必ずしも医師の診断書が必要というわけではありません。

しかし、

  • 認知症診断後に契約する場合
  • 後日のトラブルを避けたい場合

には、診断書を取得して判断能力の裏付けとすることがあります。

認知症が進んでからでは遅い理由

契約できなくなるリスクがあります

判断能力が低下してしまうと、家族信託に限らず、

  • 遺言
  • 任意後見

といった生前対策も選択できなくなる可能性があります。

成年後見制度しか選べなくなる場合もあります

判断能力が失われた後は、成年後見制度を利用することになります。

成年後見制度は重要な制度ですが、以下のような特徴もあります。

  • 裁判所の関与が続く
  • 自由な財産管理が難しくなる
  • 継続的な費用がかかる

そのため、「どの制度が良いか」を選べるうちに検討することが大切です。

家族信託を検討するなら「早めの相談」が重要です

「まだ大丈夫」と思っている今が相談のタイミングです

判断能力があるかどうかは、専門家でなければ正確に判断できません。

早めに相談することで、

  • 家族信託が可能かどうか
  • 他の制度の方が適していないか

を整理することができます。

家族信託が適さない場合の代替案も確認できます

状況によっては、以下のような制度の方が適している場合もあります。

  • 任意後見制度
  • 遺言
  • その他の生前対策

一つの制度にこだわらず、全体を見て判断することが重要です。

ご家族の状況に合わせると何が最適なのか、専門家に相談してみることもおすすめします。

よくあるご質問

※各項目をタップ(またはクリック)で詳細を確認できます。

認知症と診断されたら必ず家族信託はできませんか?

いいえ。認知症と診断されていても、判断能力があれば家族信託契約を結べる可能性があります。
医学的な認知症の診断と、法律上、契約内容を理解して自分の意思で判断できるかどうかは別の問題です。

少し物忘れがある程度でも問題になりますか?

物忘れがあるだけで直ちに問題になるわけではありません。重要なのは、契約内容を理解できるか、自分の意思で判断できるかどうかです。
ただし、後から判断能力について争われるリスクを避けるため、早めに専門家へ相談しておくことをおすすめします。

家族が「大丈夫」と思っていれば契約できますか?

家族の判断だけでは足りません。実際の家族信託契約では、弁護士や司法書士などの専門家、また公正証書で作成する場合には公証人が、本人の受け答えや理解度を確認します。
認知症診断後の契約や、後日のトラブルを避けたい場合には、医師の診断書を取得して判断能力の裏付けとすることもあります。

後から契約が無効になることはありますか?

判断能力が問題になると、後から「契約内容を本当に理解していたのか」と争われる可能性があります。
そのため、契約時の受け答え、内容理解の程度、医師の診断内容などを慎重に確認し、専門家が関与したうえで進めることが重要です。

その他、ご家族の状況に応じて家族信託が適しているかどうかを確認したい場合は、お気軽にご相談ください。


まとめ

認知症になっても、すべての場合で家族信託ができなくなるわけではありません。

しかし、判断能力が低下してしまうと、選択肢が大きく限られてしまいます。

「うちはまだ大丈夫だろうか」

そう感じた段階で、一度専門家に相談しておくことが、将来の安心につながります。

名古屋総合リーガルグループでは、弁護士・司法書士・税理士がチームとなってサポートいたします。ぜひご相談ください。